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【第16号】オモロいことは、ノリノリで。商店街の老若男女を巻き込み大奮闘!|松原京極商店街
2017/05/17

 松原京極商店街は、京都の町の真ん中を東西に貫く松原通りにあります。松原通りは、平安時代は五条大路と呼ばれ、あの牛若丸と弁慶とも縁がある通り。老舗も多く残る昔ながらの商店街です。

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 理事長の井上昌則さんは、京都府内に300ある商店街の中でも珍しい30代の若い理事長さん。商店街への熱い思いを同じくする、ギャラリーカフェ・コミュニティスペース運営の守田雪子さんとともに日々奮闘されています。

 次々と新しいことにチャレンジするパワーの源とその思いをお聞きしました。 

仕掛け人、参上!

創業明治5年漬物店の若旦那。京都の昔ながらの方法でつくった漬物をみなさんの食卓に届くよう、日々精進されています。

創業明治5年の漬物店の若旦那。京都の昔ながらの方法でつくった漬物をみなさんの食卓に届くよう、精進の日々。

■井上さんが松原京極商店街振興組合(以後、商店街)の活動にどっぷりはまったきっかけは?

井上さん:前理事長の時にも、守田さんと一緒に、商店街のためのいろいろな企画を持って行ったりはしていたんですけど、その頃にちょうど子どもが生まれたので、「子育てをするのに楽ができる環境ってなんやろ?」って考えたんです。

 小さい頃から結婚するまでこの商店街で過ごしていたし、親も商店街の中ではほったらかしで遊ばしていた。遊んでいても「どこどこの子や」というのがみんなにわかるし、自分もそれでとても安心やった。そやから、ワザと知っている八百屋のおっちゃんの店の前で遊んでみたり・・・。

 そんなことを思い出すと、“この商店街が一番楽ができる、子育てにマッチしている”って思って。でも、それに反して商店街はさびれてきていて、商店街の会員もだんだんやめていく。それを何とかできへんかなぁと思ったんです。

そんな中、今は片腕のような守田さんに出会ったんですね?

守田さん:出会ったきっかけは何やったやろ? 覚えてないなぁ(笑)

井上さん:商店街で開催した『手づくり楽器で遊ぼうワークショップ』に守田さんが来たのがきっかけちがうかな?

守田さん:そうやね。ワークショップに行ったのはこの商店街に来る前かな。

守田さんがこの商店街に深くかかわるきっかけは?

 守田さん:私も動機が井上さんとすごく似ているんです。16年前に娘ができて、それでここに引っ越してきました。その当時はまだ商店街は元気やった。“商店街があれば子育ては楽!”と思っていたのに急に寂れていってしまって・・・。

 初めは今の場所とは違う、もっと狭い場所で英会話教室をやっていたんですが、急にそこを出ないといけなくなったんです。でも、どうしてもこの松原京極商店街の中で出店したいと思って。飛び込みや知り合いの伝でいろいろ聞いて回ったけど、どこも貸してくれなくて。店は閉まっているんですけどね。

 なんとかようやく今の場所に落ち着いて、内装も自分たちでペンキを塗ったり、展示用のスライドも画材屋さんに買いに行って自分たちでつけたり。できる限り節約したけど、それでも改装にはかなりお金がかかってしまいました(笑)。

守田雪子さん:ギャラリーカフェ京都ときじく 代表

 守田雪子さん:ギャラリーカフェ 京都ときじく 代表 

 

守田さん:ここに来た当初は「こんな広い場所をどうしよう?」と思ったんですけど、ギャラリーだけでなく、イベントなどいろいろな事業をすることができて、いろいろな人が集まってきて、活動の広がりを感じています。できないと思っていたことでも無理やりやっていると段々とそれに自分が馴染んできて、不思議とできてしまうんやなぁって。

 ギャラリーも最近はいろいろな分野の人が使ってくれてありがたいです。今度の落語会も、偶然の出会いがきっかけ。この商店街出身の落語家さんが、里帰り中にたまたま店を覗いていたところを、いつもカフェに来てくれる、前の店のオジサンが声をかけてくれたんです。で、「こういうところで落語やってみたいねん」というのを聞いて実現したんです。

井上:この店は外から中の様子がみえるし、歩いている人も気になるのかもしれへんね。

商店街オリジナル豆でいれたコーヒー、牛若(あっさり)と弁慶(しっかり)

 

そういう人の縁みたいなことが商店街らしいですね。

松原京極商店街といえば、商店街の歌のCDを作ったり、フラッグをつくったり次々と新しいことをやっているという印象がありますが? 

 

 商店街、潰れるんやったら、なんでもやってみる!

井上さん:商店街を音楽で盛り上げようと思ったのがきっかけ。理事長になった時、“このまま商店街がつぶれるくらいならなんでもやってみよう”と商店街の歌を作ってCD化しました。本格的にちゃんとスタジオを1日借りて、商店街会員が集まって合唱をしたり、商店街に関わりのあるアーティストに参加してもらったり。1日で3組のレコーディングが大変でした。

 うなぎ屋の娘さんが作詞をしてくれて、守田さんがどこか耳に残る懐かしげな商店街らしい曲を付けてくれて。これがまた中毒性のある楽曲で・・・(笑)。3回聞くと1日中この曲が頭の中をぐるぐるまわる。同じ曲の“近所のおばちゃんの太鼓”バージョン、“シャンソン”バージョンもあるんですよ。

松原京極商店街のうた・レコーディング編

守田さん:アホなことをするときは、商店街のみんなはノリがいい。まじめな話になると急に誰ものってこなくなるけど(笑)。

 春祭り(4月1日)で、まるき製パン所の息子さんが弁慶のコスプレをして販売していたら、うちの店(ときじく)に偶然こられたお客さんが、「さっき弁慶がいた!」ってびっくりしてはった。この商店街が牛若丸と弁慶にちなんでいることも知らなかったらしくて。

井上さん:うちの母も牛若丸のコスプレをしてます。そういうことはみんな面白がってやってくれますね。みんな本当にノリがいい。みんな、商店街のために「なんかはせんと」という思いがあるんだと思う。問題は続かないことかな。

続かないといっても、これだけ次々と途切れなくイベントがある自体、すごいと思いますが。

井上さん:毎回新しいアレンジは加えているし、新しく商店街に入って来た人が提案してくれることもどんどん取り入れています。たとえば、ひのでやエコライフ研究所さんからの提案で、お祭りは”マイコップ持参”にしたり。

 まじめな話はノリにくいけど、面白い話はのりやすい。理事会の決め事なんかでは普段はダメ出しの多い年配の理事さんも、面白いことにはOKって言ってくれます。

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 残念ながら、今のところはそれが売り上げには直接結びついていない。自分たちが楽しんでいるだけ。でも、自分自身は仕事と遊びとを分けなくて、それでいいと思ってます。まちづくり的なこともやって、で、時々仕事をしているみたいな感じ。

 何が楽しいかは人それぞれやし、ぼくは商店街に関わりをもってアホなことをやっている人生が楽しい。生きがいで商店街のことをやっている。

 ビジネス目的だけで商店街に店を出す人は、売り上げにつながる道筋がみえないと、商店街に加盟するメリットがないと言う。でも、本当は、この“松原京極商店街という場所”にあるというだけでメリットがあると思うんだけど。あとは、人が来るかどうかはそれぞれのお店の努力やね。 

商店街を“ほっと一息つける場所”にしたい

井上さん:足を止める場所、商店街で買ったものを食べたり飲んだりしてちょっとゆっくりしてもらう場所として、店の前に床几を置いてみました。こうやって見ていると、床几があるだけでもくつろいだ感じになりますね。

 商店街に来てくれるお客さんがほっこりしてくれればいいなと思っていたけど、実際一番座っているのは地元の小学生たちやった(笑)

床几に座って、一息つけば、大人も子ども自然と笑顔。

守田さん:うちの店の前にも床几が置いてあって、店の中からは見えないけど、なんか子どもの声がいつもするなぁと思って。あるとき見てみたら、下校中の小学生が座ってしゃべっていた。「何してるん?」って聞くと、「疲れるし座ってるねん。ぼくここが好きなんや」って。

井上さん:最近の小学生は、すぐ疲れるっていうね。うちの子どももそうやけど(笑)。

 帰りにこの商店街を通る小学生は結構多い。歩いているだけでなく、気軽に店の中にも入ってきてくれる。そういうのが一番いいね。昔から商店街っていうと、こんな感じやったもん。

 商店街にいるといろいろあって、どこからが仕事がわからへん。でもそれで暮らしていければいいと思ってる。

お聞きしていると、面白いことが盛りだくさんですが、その情報はどうしたら知ることができるのですか?

井上さん:いまはFacebookで流しています。でも、イベントの内容が決まるのがギリギリなので、なかなか情報発信がちゃんとできていない。

れはもったいないですね。面白い素材がいっぱいありそうなのに。牛若丸や弁慶の衣装があるのなら、コスプレで加盟店の紹介をしてもいいかも。商店街創生センターでも、情報発信のお手伝いができればと思っています。

井上さん:いつか、この商店街のメインキャラクターの牛若丸と弁慶をアニメ化できたらいいなぁと思っています。お金がたくさんかかりそうなので無理かもしれないけど・・・。

ここにしかないもの、人が来る仕掛けをつくる

それぞれのお店としての今後の目標は?

守田さん:ときじくのギャラリーとしての稼働率を上げることかなぁ。ギャラリーの使い方には2種類あって、1つは作品を売るための空間、もう1つは自分の作品を発表する場。年配の方が展示をされるときは、案内状を年賀状のようにいっぱい送られるので、その案内がきっかけになって大勢の人が集まり、同窓会のように懐かしい人達と再会する場にもなっています。それも空間のいい利用方法かなと思います。

 松原京極商店街という名前は知っているけれど来たことがないという人達が、展示をきっかけに来てくれれば。新しい人達が来られるきっかけをつくれるのがギャラリーの1つの役割だと思っています。

copyright:井上漬物店

 

井上さん:糠床の教室をやりたいな。町の人がみんな糠床を持ってくれるよう頑張りたいですね。利き糠をやったり、糠床をきっかけにつながっていきたいな。

 他のところから何回も買いに来てくれる人だと、その人の好みが段々と分かってくる。そうすると、今度はこちらから「こんなんどうですか?」って声がけができる。縁のある人と対話するのが面白いんです。

 

 

 

 

 

新しいイベントは? 糠漬け×ワインのコラボレーション

守田さん:イベントをすると客層が変わる。音楽系では、第1土曜日の夕方(午後4時から)に井上さんのお店でアコースティックライブ、夜(午後7時から)は、ここ(ときじく)でジャズライブをやっています。他にも夜のイベントで、日本酒の飲み比べもしました。

 夜のイベント目当てに来た人が、また違う日にもランチを食べにきてくれたり。そうやって、少しずつ広がっているのかなぁ。今月から水曜日の夜に、バーの営業も開始しました。

■日本酒のイベント!いいですねぇ。さっき井上さんが話しておられた糠床の漬け物とのコラボでなんかできそうですね。漬け物×お酒で新しい夜のイベントとか。日本酒と漬け物は好相性だと思いますが、ワインとの組み合わせなんかもどうでしょう 

守田:それは面白いかも。じゃあ、さっそく企画を考えましょう。

こんな形でサクサクと決まっていくんですね。この行動力はすごい! 夜の企画が増えて、人がどんどん来てくれれば、夜に開けてくれるお店も増えるかも。夜の商店街に来てくれる人達も増えるといいですね。

井上さん:このあたりに住んでいる人達は共働きが多いので、夜でないと商店街に来られない人が多いんですよね。

 イベントは自分たちが楽しくなければ動かへんし続いていかないでしょう。これからも楽しみながらやって、それで人が来てくれたら嬉しいですね。

一度前にころがりだしたら、みんなそちらの方にいく。そうすると、商店街の景色もまた変わっていくと思いますね。

 

<Deta>

松原京極商店街振興組合 京都市下京区松原通り新町~大宮間

Facebook:https://www.facebook.com/matsubarakyogoku/

Instagram:https://www.instagram.com/explore/locations/343387501/

 ◆井上漬物店  京都市下京区油小路通り松原上ル麓町657京都市下京区油小路通松原上る麓町657  

☎075-351-1451

HP:https://www.inoue-tsukemono.com/

Facebook:https://www.facebook.com/inouetukemono/

カフェ・ギャラリーときじく 京都市下京区天神前町334

☎075-748-1506

Facebook: https://www.facebook.com/pg/ymtokijiku/about/?ref=page_internal  

※ワインイベント実現しました!:https://www.facebook.com/events/235256486972031/?acontext=%7B%22action_history%22%3A%22null%22%7D                                                                                                                                  

ライター
Hiroko.K
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京都市

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