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【第31号】個性的な個店が人を呼ぶ |大本通り商店街(綾部市)
2018/12/11
江戸時代は城下町。その趣を残す通りにマッチした、古くて新しい「赤尾漢方薬局」と薬膳喫茶「悠々」
江戸時代は城下町。その趣を残す通りにマッチした、古くて新しい「赤尾漢方薬局」と薬膳喫茶「悠々」

綾部で町屋を見つけた!

 綾部といえば、二つのキーワードがある「グンゼ」と「大本」だ。この二つを西町アイタウンと大本通り商店街が繋いでいる。江戸時代には城下町として、明治時代には旅館や料亭、その他多くの店が軒を連ねていた。暮らしの日常品を買うグンゼの女工さんたちや商談に訪れる仲買人たちで料亭や花街等も大層賑わったという。    

今でも風情豊かな町並が残る大本通り商店街をぶらりと歩いてみた。

創業明治42年の「赤尾漢方薬局」。昔ながらの町屋をリノベーションした店舗は、大本通り商店街のなかでもひときわ目を惹く。店舗横の路地奥には緑あふれる庭が見え、誘い込まれるように進むと併設された薬膳喫茶「悠々」があった。

▲薬膳喫茶「悠々」へのアプローチ

個性的な個店が人を呼ぶ

店主の赤尾明俊(あかお はるとし)さんは、元大本商店街の会長でもあり、綾部に人を呼び込む仕掛け人だ。「よそから人に来てもらうには特徴のある店がないと来てくれない。一軒二軒でも突出した店があり、個性をみせれば来てくれるはずだ」と語る。

当時、京都府全体でも町屋を活性しようという動きもあって、「綾部の個性をつくっていこう」と2011年商業者とともにあやべ町屋倶楽部を立ち上げた。自らの店も奥の住居とともにリノベーションし今の形となった。

▲蔵は喫茶の個室として使われている

 

明俊さんの心強い協力者は、大学卒業後は関東で働いていた、息子の征樹さんだ。明俊さんから「こういったことをやってみたいから、帰ってきて一緒にしないか?」と言われたとのこと。「昔から店は継がないとと思っていたので帰って一緒にやりました」と征樹さん。後継者がないといわれる店が多い中、こんな素直に戻ってくるなんて・・・ほんとに殊勝な息子さんだ。並んで写真をというと、明俊さんのこの笑顔、ほんとにうれしそうではないですか!

▲赤尾征樹さん(息子)            ▲赤尾明俊さん

ブティック漢方?を目指して

ブティック漢方とは、明俊さんの言葉だが、ガラス張りで明るい店舗はまさにブティックのようだ。内を覗くと薬箱や秤がまるで博物館のようにディスプレイされ、棚には漢方薬がきれいに並んでいる。もっとなにがあるのか気になり、つい入ってしまう。それが、明俊さんの思惑だ。

「町の中に漢方専門店があることを知ってもらい、薬草にも親しんでもらえるよう、おしゃれ感を意識した漢方店舗と気軽に漢方と試しながら癒やしの場としても利用してもらえるようにカフェにしたんです」と征樹さん。漢方といえば敷居が高いのだが、これなら入りやすい。近年の漢方ブームも追い風となり口コミや雑誌記事などの影響で、休日には、京阪神からこられる女性客も多いとのこと。

 

 

『医食同源』薬膳は女性にだんぜん人気!

漢方は昔だったら民間薬としてなじみ深いものだったが、いつも間にか西洋薬がその座を奪ってしまった。しかし近年、自然志向の高まりもあり、女性中心にまた広がりをみせている。その動きを敏感に察知し、薬膳喫茶「悠々」も開店された赤尾さん親子、その工夫話を征樹さんに聞いてみた。

「悠々」のコンセプトは、身体に優しく美味しいということ。「薬膳といっても親しみやすくおいしさも追求し、料理として一般的なイメージをもてるものをつくっています。棗、しょうが、シナモンなどももともとは漢方薬の原料、美味しく香りの良いものをメインにメニュづくりを考えています」

確かに、言われてみれば身近にある食材も多く、全般的には穏やかな味なので、漢方初心者にも食べやすい。リピーターが多いというのもわかる気がする。

▲蓮の葉をひらく瞬間が楽しい「蓮の葉包蒸飯」、中にはクコの実、松の実を加えオリジナルの味付けをした炒飯が入っています。高麗人参入り薬膳スープも。

▲The 薬膳! 的なスープカレー。レンコンなど身近な食材も。

▲オリジナル漢方茶

状況を聞き、適切な処方をする

ちょっと本格的なオリジナル漢方茶は、カウンセリングを受けてから希望やその日の体調にあったものを選んで出してくれる。

「事象を分析し、それに合った対処策をみつける」それを生業にしている明俊さんだからこそ、今の商店街や綾部の状況やその処方も考えている。

「今、商店街は衰退している。お客さんの利便性を考えると大型店舗にはかなわない。でも、それぞれの人間性が見える店があればその中に面白さがある。それを求めて人は集まる。山の中の一軒家でも、個性があれば人がくる。

綾部をどう変えるかではなくて、どう伸ばすかという視点が必要」と明俊さんは語る。「田舎というと取り残されたら大変だと危機感を持ちがちだが、過疎を逆手にとって、その残された資源や雰囲気を、落ち着いた癒やしの場というウリでやったらいいんです」と考えは自然体で無理がない。

トトロの世界から商店街へ足を運んでもらえればよい

木造の渡り廊下がある旧奥上林小学校、老富町のミツマタやシャガが咲き誇る森などには、SNSやガイドブックの影響でそれを見に来る都会からの客も増えている。「トトロがいるような自然がいっぱいの場所に来た人も、帰りには町中や商店街に寄ってもらえる魅力をつくらないといけないと思うのです」と話す。明俊さんは、まずは出来ることからと、商店街会長の時には、自らが市長にかけ合って商店街内の道路整備、大本さんの庭の紅葉が池に映った美しい風情をなんとかしたいといろんな人や商工会議所を巻き込み、「綾部もみじまつり」を開催、古くは江戸時代から続く町屋を活かすべく「あやべ町屋倶楽部」をつくって積極的に励んでこられた。

▲和紙の原材料、ミツマタの花

▲初夏にはシャガの花が咲き乱れる

「また来たいなぁ」と思わせる商店街とは?

「商店街というとポイントカードとかで集客するところが多いが、それだとみんな同じになって嫌なんです」。何かをする時に、みんなの賛同を得ることも大切だとは思うが、必ず足を引っ張る人はいるので・・と前置きをして、「誰かが突出したことをして『面白いなぁ』といわせること。天辺は高くて、動きがじわじわ裾野が広がっていく感じかな」

▲あやべ町屋倶楽部の中の一店舗「いっぷくせんべい半月庵」

▲おせんべいと町屋の雰囲気が合って,良い感じの店内

「空き店舗の持ち主は駐車場にしたいというのが多い。でも趣のある昔の建物を潰してしまうのはもったいない。町屋が残っているのは京都市内だけではなく、綾部にいくと町屋が残っていて、それもそれぞれが個性的で面白い店になっているという情報が広がっていくと、きてみようと思う人も増えると思う。店は多くなくってもよいが、きらりと光る部分が共通した数店あれば、人は呼べると思う」

天辺のことを次々と打ち出してきた明俊さん、次は「漢方の健康村をつくりたい」とさらに面白いことを考えている様子だ。どのようなことになっていくか?今後が楽しみである。

 

■赤尾漢方薬局 京都府綾部市本町二丁目3 https://www.akaokanpou.com/

■薬膳喫茶「悠々」 http://kanpou-yu-yu.com/

ライター
Hiroko.K
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