>>前編では、宮崎県日南市の「油津(あぶらつ)商店街」再生事業に取り組んだ、木藤亮太氏の基調講演「宮崎県日南市・油津商店街の再生からみる地方創生の新しいかたち」についてご紹介させていただきました。ここからは、第2部・第3部についてご紹介していきます!
■第2部・トークセッション
第2部は、「京都で頑張る商店街からみる活性化のヒント」をテーマにしたトークセッション。商店街若手プロジェクト(※1)のタナカ氏がモデレーターに加わり、地域連携や組織改革、事業づくりなど新たな動きをスタートしている、与謝野町、京都市、長岡京市の3つの商店街の取り組みの現状やこれからについてお話を伺いました。
【与謝野町】くすぐるカード会会長:小長谷建氏(紹介記事はコチラ)
【京都市】古川町商店街副理事長/白川まちづくり会社副社長:鈴木淳之氏(紹介記事はコチラ)
【長岡京市】セブン商店会会長:林定信氏(紹介記事はコチラ)
【モデレーター】商店街若手プロジェクト/株式会社ツナグム:タナカユウヤ氏
(※以下、敬称略)
「百商一気」という商店街組織を越えたチームづくりを行う小長谷さん、商店街や地域が新しいもの事を受け入れていくためのワークショップに力を入れている鈴木さん、商店街組織の生まれ変わりのために奔走した林さん。
宮崎県日南市の事例のように、商店街活性化事業に当てる十分な人材や費用を捻出しづらい商店街は一体どうしているのか、そのヒントを探っていきます。
タナカ:取り組みを始めてからの商店街の変化や、地域の反応などはいかがでしたか?
林:活性化委員会でセブン商店街の方向性を決め、「新たに商店街をつくりませんか?」と少しずつ声をかけてみたところ、加盟店が29店舗から45店舗に増えました。
小長谷:商店街の垣根を越えて、広く声をかけてみると「地域のために何かやりたい!」という方が集まり、与謝野町で取り組んでいる「桜プロジェクト(※2)」への協力者が増えました。
タナカ:古川町商店街の真ん中には「古川趣蔵」というコミュニティスペースができ、商店街の外からも地域に関わる方が増えたのではないでしょうか?
鈴木:そうですね。まずは、イベントなどの企画を重ねていくことで「この場所でも何かを企画すれば人が来る」という認識が地域側にできました。
そうした積み重ねで少しずつ人の流れが生まれ、「古川町商店街と一緒に何かやってみたい!」という大学生ともコラボレーションできるようになりました。何かを企画することは手間やお金もかかるのですが、それ以上に得られるものがありますね。
タナカ:若者も含めたチャレンジは、商店街を活性化させていくために必要不可欠だと思いますが、商店街以外の方と連携するためにどのようなことを行いましたか?
林:新旧の加盟店舗の間に「商店街活動」について意見のズレがあることを感じていました。そこで2ヶ月に1回「セブンニュース」を発行し、まずは商店街内で問題意識を共有するようにしました。
それから、加盟店・非加盟店に関わらず参加できる立ち飲み&交流イベント「立ち飲みセブン」を開催したところ、想定していた以上にいろんな人が訪れてくれたんです。そこで絆が生まれたように感じますね。
タナカ:商店街という組織を地域に開いていくことも大事ですね。これからの商店街には、課題だけでなく様々な可能性があると思いますが、皆さんの今後の取り組みについてお聞かせください。
鈴木:15坪ぐらいの商店が40店舗くらい並ぶような場所が、地域の魅力をつくると思っています。コンビニやスーパーが集まってくるのではなく、もっと町衆のお店を増やしたいですね。そのためにディベロッパーとして人と人を繋ぎ、若者の新規出店を応援していきたいです。
また、古川町商店街には現在、5つのゲストハウスがあります。商店街でもインバウンドのニーズが高まっており、訪日観光客の方々を新たな「お客さん」として受け入れるための体制を整えていきたいですね。
小長谷:与謝野町を10年、20年後もたくさんの人が訪れ・集まれるような地域にしていきたいです。その一環として百商一気で取り組んでいる「桜プロジェクト」は、未来の与謝野町にたくさんの人が訪れてくれるよう、みんなで企画を考えながら進めています。
林:消費者から見た商店街の良さは、個人店ならではの技や知恵を学べること。「美味しいお茶の淹れ方講座」など、これまで個人店で開催していたイベントなどを「七光塾」として、セブン商店街全体で発信していきたいです。
また、子ども向けのハロウィン企画などを地域の方に手伝ってもらうような、商店街のサポーター制度があってもいいのかなと思っています。そういった消費者と商店街の新たな関わり方もそうですし、この夏に発生した台風や地震など 災害時に商店街ができる支援の在り方を考えていきたいです。そういった取り組みを通して、「セブン商店街に出店してみたい!」と思ってもらえるような商店街をつくりたいですね。
< 当日のグラフィックレコーディング >
【ゲストスピーカーの「商店街×〇〇」】
小長谷氏:「商店街 × 人 × 覚悟」(今後の組織に必要なもの)
鈴木氏:「商店街 × 人」(人の巻き込み方を考える)
林氏:「商店街 × デザイン」(商店街そのものをデザインする)
(※1)商店街若手プロジェクト・・商店街創生センターでは、商店街活性化やまちづくりに関わっている人材・団体等によるプロジェクトチームをつくっています。このメンバーと商店街とをつなぎ、若者や外部の新鮮なアイデアやネットワークを商店街活性化に活かすため、「商店街ハック(Hello And Collaboration Kyoto)事業」を実施しています。(詳細はコチラ)
(※2)桜プロジェクト・・与謝野町を盛り上げたい「百商一気」のメンバーが取り組む、地域活性化のためのプロジェクト。全国からオーナーを募った145本の桜の植樹や、桜を使った食に関する商品開発を行なっている。(詳細はコチラ)
■第3部・ネットワークセッション
第3部は「ネットワークセッション」として、商店街と連携したイベントの企画やサービスを展開していきたいと考えている若手・事業者による1分間のプレゼンテーションやゲスト・発表者との交流会を行いました。
▼発表者は下記の通りです。
・商店街 × デリバリー:UberEats
・商店街 × 地図活用:株式会社Stroly
・商店街 × デザイン:Keydesign
・商店街 × DIT:KUMIKI PROJECT
・商店街 × 映画:月世界旅行社
・商店街 × SNS活用:JAPAN STYLE株式会社
・商店街 ×ライブ:商店街ライブ実行員会
・商店街 × シェアサイクル:大和ハウスパーキング株式会社
・商店街 × 屋台:父活プロジェクト
交流会は最後まで盛り上がり、撤収時間ギリギリになるまでゲストへの質問が尽きませんでした。
おわりに
会場に集まった方々と京都の商店街の未来について考える「京都商店街創生フォーラム 2018」。参加者それぞれがこれから取り組んでみたい【商店街 × 〇〇】の実現へ向けて、新たな一歩を踏み出せる機会になれば幸いです。
「商店街でこんな企画をやってみたい!」という方はぜひ、商店街創生センターにお問い合わせください!
◎お問い合わせ先◎
商店街創生センターお問い合わせフォームまで