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【第1号】まちを楽しみ、まちを発信する。|KOKIN代表・大滝雄介さん
2016/07/27
まちを楽しみ、まちを発信する|KOKIN代表・大滝雄介さん
まちを楽しみ、まちを発信する|KOKIN代表・大滝雄介さん

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大滝雄介さん:1982年舞鶴生まれ。1997年に西舞鶴高校へ入学、2000年に千葉大学工学部へ進学。2004年に㈱NTTデータへ就職。親御さんが体調を崩されたことを機に帰郷し、2007年に家業である㈱大滝工務店へ。2015年、同社代表取締役に就任。一級建築士。本業の傍ら、まちを楽しむ任意団体「KOKIN」の代表を務める。レンタルスペース宰嘉庵(さいかあん)の改修・運営や、まちの暮らしを切り取る写真集「ぼくのまち」の発行、日替わり店長のチャレンジ&カフェバーFLAT+の改修・運営に携わる。

帰郷、そして

kokin13“行きたい大学へ進学し、就きたい仕事に就けた。世の中にはこんなにも広い世界があって、すごい人がいて、面白い場所があって。当時はもう、舞鶴に帰るつもりはなかった”そう。しかし、親御さんが体調を崩したと連絡を受け、帰郷するかどうかとても悩みました。葛藤の末「帰らなかったらずっとどこかで気になるだろうし」と、大滝さんは長男であることも考慮した上で、自分自身でチャレンジできる新たなフィールドを選択します。

まちなみは文化

kokin03いつか見た「まちなみ」が時代とともに廃れていく様子を目の当たりにし、地域文化であるまちなみを残すために何ができるのかを考える日々。かつて、「どうしてもここに居たい」と思えるほど好きにはなれなかった地元。ですが、実際に帰ってきてみると変にレトロ感があって。あの頃は感じられなかったまちなみの面白味を、なんとなく感じられるようになっていたと同時に、ここでの暮らしに愛着が沸いてきたのだそう。

「帰ってきて思ったのは、学生時代に感じていたよりもずっとコンパクトなまちだったということ。でもそれって、単に地理的な距離感だけじゃないのかも、と思いました。まちに根付いて、ひとを知って、ひととの関わりの中で生きていることを強く実感するようになったからこそ、まちを身近に感じて、コンパクトと感じるのかも。 そう感じ始めたとき、“コンパクト”という言葉がちっちゃくてちっぽけなまちという意味から、ひとと近くて暮らしが楽しいまち、という意味に変わってきた。」と大滝さんはおっしゃいます。

まちを楽しむ次の一手

kokin04一度地元を出られたことで、地元民でありながらもよそ者の視点で「まち」を見るように。以前よりも潜在的なまちの可能性に気づけるようになり、また、まちに足りない要素も明確に見えるように。

“都会にばかり楽しみを見つけに行くのではなく、まずは自分のまちを楽しむことが「まちにとって」良いことであり、自分たちにとっての「サードプレイス」を創りたかった。”

そういった”非日常”が生まれる環境を創り出すことは、新しい価値を生み出すということ。それは実体経済を回すことに繋がっていくのだそう。

今ある地域資源を活かしながら、古のまちなみを今につなぎ、多世代交流を加速させていく。そんな思いを胸に、大工の徳永さん、カフェ出店志望の矢野さんと出会い、KOKINを結成。メンバーとの出会いをきっかけに「ここ(舞鶴)にいればずっと楽しい」と次第に思えるようになっていったそうです。

そんな大滝さんがまちに関わるようになった「きっかけ」とは?

  • やらない理由がない
  • まちなみを作る仕事に従事している
  • 仕事上人と知り合う機会が多い
  • 地元っ子
  • やる気を持て余している
  • 一生住んでいくまち、楽しまないと損

気が付けば、まちを楽しむ準備は十分に整っていました。

レンタルスペース宰嘉庵の誕生

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▲元々はたばこ屋さん。オーナーさんは舞鶴出身で現在伏見在住。

宰嘉庵の改修はワークショップ方式で行い、改修後は、レンタルスペースとして運営しています。オープン1〜2年の間はとにかくイベントを開催し、交流する人の数を増やすことに注力。例えば音楽イベントや講演会、地域のサークル、陶芸展、まんが喫茶などなど。そんなイベントから派生して、コラボイベントなども開催されました。中でも、チャレンジショップの「うな鶴」は大盛況で、鰻を求めて予想をはるかに上回るお客さんが来店。

KOKINでは「場づくり」をしながら「魅力発信」を同時に進めておられます。それが、暮らしを切り取る写真集「ぼくのまち」

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これらの取り組みを通して大滝さん自身も、「まちを愛する工務店」として発信。また、空き家活用の一事例としても発信しています。大滝さんは”個人の思いと会社の方向性がリンクする”ということを大事にされています。

日替わり店長のチャレンジカフェ&バー「FLAT+」がOPEN

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平野屋商店街の中で気になっていた空き家は元々は薬局だった場所で、オーナーさんは大阪在住。どうにかオーナーさんと連絡を取ることができ、「チャレンジショップを創りたい」という旨を伝えます。

こちらもワークショップ方式で改修を進めていくことで、「みんなで」場を創っていく。そして、2016年5月29日にオープンしました。

▼オープニングイベントの様子

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「食」を通して交流を生むことをコンセプトに、テーマ性を持って発信しているお店やイベントグループの常設化、自分の枠を広げる方々の応援、「飲食店をやってみたい」方がチャレンジできる場など多様に展開しています。

10年後の自分たちのために

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▲FLAT+に来られたご家族との1枚

最後にこれからの展開を聞いてみると、宰嘉庵とFLAT+の次として考えているのはゲストハウス事業とのこと。平野屋商店街周辺には、宰嘉庵や大滝さんお気に入りの銭湯、その中間地点にFLAT+が誕生し、次は「宿」。ワクワクできる場所からワクワクできるエリアへ。広域的に“いかに地域に良い影響をもたらすか”という観点で事業を進めていきます。

KOKINで大事にしていること

kokin12”まず何よりも「楽しむ」こと”

経営とロマンを追求しながら、理論よりも実践に重点を置くことや、地域工務店は施工請負業ではなく「暮らし創り業である」という考え方。そういった実践の繰り返しが結果として、商店街に関わり、商店街の活性につながっていくのだと感じました。

以前よりも楽しめるようになってきた、と大滝さん。帰郷後、KOKINの活動を始めてみると「大滝工務店の息子さんは何遊んでるんや」という周りの目もあったのだとか。様々な葛藤や苦難を乗り越えてこれたのは、「まちを楽しむ」一心から。

ライター
Anna Namikawa
地域
中丹

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