笠置町は、京都府の南の端、奈良県、三重県に隣接した人口1,327人の小さな町。高齢化率は50%を超え、まさに過疎化・高齢化が進む地域です。(2019.3現在)
定住者は少ないものの、自然や歴史に恵まれ、豊かな自然資源を活かしたアウトドアアクティビティー(キャンプ、カヌー、ボルダリング、ハイキング)と、自然の岩壁に直接彫り刻んだ仏像<弥勒磨崖仏(みろくまがいぶつ)>を本尊とした笠置寺などへの観光を目的に年間25万人が訪れます。
笠置駅前通商店街は、JR笠置駅前から約350m続く通り。商店街を挟んで日帰り温泉施設とキャンプ場があります。
多くの観光客が町を訪れるものの、商店街は店舗がまばらで、その上後継者がいないため空き店舗が目立ち、寂しい状況です。
笠置まちづくり株式会社の誕生
駅周辺と町に活気を取り戻そうと、笠置町、笠置町商工会、観光笠置、町民有志等によって笠置まちづくり株式会社が、平成28年8月に設立されました。
笠置まちづくり株式会社(以下、まちづくり会社)は、笠置町のいろいろな情報を集め、活性化の取組を一手に引き受けるベースとなって、空き家・空き店舗活用、特産品開発、農家民泊事業といったまちづくりに関する事業を近隣市町村と連携しながら取り組んでいます。
代表取締役社長の有田香津子ありた かつこさん(中央)と副社長の北川一美きたがわ かずみさん(右端)、地域おこし協力隊の藤田始史ふじた もとしさん(左端)が中心となって運営されています。チームワークはバッチリです!
藤田さんが奮闘する!
笠置まちづくり株式会社の事務を任されているのは、笠置町の地域おこし協力隊として活躍している藤田始史さん。一級建築士でありながら都市・地域プランニングや京都市内商店街の活性化等にも携わってこられました。
今までの経験やスキルから特産品開発やチャレンジショップの開設、イベントや体験プログラムを企画するなど大奮闘中です。観光客の方に楽しんでもらえ、地域の方に誇りを持ってもらえる笠置町をつくっていきたいという思いで活動されています。
*京都府商店街若手プロジェクトメンバー、デマチクラバー
H30年3月に行った商店街創生センターFacebookページ企画「商店街イケメン選手権」にエントリーされています!(http://syoutengai-c.com/introduction-article/ikemen_senshuken2018/)
Q:なぜ笠置へ?
仲間が多くネットワーク力がある藤田さん。相楽東部3町村の一つ、和束町とも関わりがあったことから、仲間達に勧められて笠置町の地域おこし協力隊に応募されたそう。
ここで先ず取りかかったのは、商店街内の閉店した店舗のDIY。一級建築士の職を活かして事務所兼チャレンジショップに再生しました。入口をガラス戸のままにしたのは「様々な人がワイワイ集まり、楽しいよ!というところを見てもらい、人と情報が集まる場として活用したい。」という思いから。
地域の方、ファンや応援してくれる人を巻き込みたい、そして、まちづくり会社だけで目指すのではなく、まちの方とも一緒にできるようにしたい。応援しあえる関係をつくって、地域のコミュニティとして一体感を高めていきたいそうです。
また、和束町の若手団体と連携してイベントの企画と実施、情報発信など近隣市町村との連携にも力を注いでおられます。
地域資源を活かす今、旬な取組み。
まちづくり会社では、アウトドア・キャンプ用品メーカーと連携して、キャンプ場来訪者向けのアウトドアグッズの貸し出しや天然岩でのボルダリングなどが気軽に楽しめる初心者向けの体験プログラムの開発に取り組んでいます。
ここでの一押しアクティビティーは、外岩でのボルダリング。
笠置大橋上流に広がる川辺のボルダリングエリアは、巨岩・奇岩の宝庫。120程度のルートがあり、初級者から上級者まで楽しむことができる人気のスポットです。電車を降りてそのまま徒歩で行け、利用料は無料!というのが最大の魅力。多くのボルダリング愛好者が訪れています。
2017年には、ボルタリングに魅せられたミュージシャンの青年と住民達との触れ合いを描いた映画「笠置Rock!」の舞台にもなりました。映画は、自分の住む町に誇りを持つきっかけになってほしいという想いで、町民総出(約300名)で脇を固めて制作されました。最近では、東京オリンピックの種目に採用されたこともあって人気が高まっています。
笠置ブランドの開発
笠置ブランドをつくろう、特にアウトドア愛好家が欲しいと思うものをつくろうと開発したのがスポーツ手ぬぐい。
ターゲットはボルダリングの来訪者で、笠置町のボルダリングエリアをモチーフにしたオリジナルのスポーツ手ぬぐいです。
この町の商店街のにぎわいづくりとは。
豊かな自然資源を活かしたアウトドアアクティビティーや観光は、ここ笠置の最大の魅力です。アウトドアや観光で年間多くの方が訪れますが、残念ながら今の商店街は通過されるだけ。今後は個性的な個店や、来訪者が魅力を感じるような場をどんどん増やし、来られた方が楽しんでもらえるようになれば話題になります。それをまちづくり会社が情報発信することで、さらに人が訪れ、賑わいが生まれる。。。
笠置町の未来をどう切り拓いていくのか、これからの笠置町と笠置まちづくり株式会社、そして藤田さんの活躍に期待しています。
取材後に寄ってみました。
JR笠置駅の駅舎を活用したお洒落な店舗 STATION!
『すべての女性が笑顔になれる場所』がコンセプトのカフェ&ネイルのお店。
毎週月曜日にだけ提供されるランチは、季節の野菜がたっぷりでナチュラル&ヘルシー。旦那様が釣ってこられた魚をメニューにされる時もあります。
月曜ランチ以外にも、カレーやサラダうどんといった定番メニューもあります。
そのほか、オリジナルレシピのスイーツ『宇治抹茶のセミフレッド』や季節のフルーツを使った手作りのスイーツやドリンクもオススメです。
ネイリストでもある福井さんがお客さまを笑顔で迎えてくれます。
*セミフレッドとは、半解凍状態のデザート。アイスとケーキの中間的な新食感スイーツ。
■駅ナカカフェ STATION! Facebookページ
体験プログラムに参加してみました。
体験プログラムの時には、まちづくり会社でシューズとマットをレンタルします。思い立った時に手ぶらで体験できるのが嬉しいですよね。まず、岩の前で説明と諸注意から。講師は、シバタ タツヤさん(カメラマン、クライミングインストラクター)映画「笠置Rock!」を見て東京から移住されました。説明を聞き、いざトライ!
参加者は、ほとんどが初心者でしたが、垂直に近い岩にも果敢にチャレンジする参加者も。自然の岩に登る醍醐味や面白さを実感することができました。「やったー!」と達成感が味わえ、互いにほめ合ったり、うれしさを共有したり。。。参加者からは次回の開催や定期開催を望む声もあり好評でした。
■笠置まちづくり株式会社 ホームページ Facebookページ
※電車で笠置へお越しの際には、ICカードはご利用いただけませんので、切符を買ってくださいね!