小銭を巡る問題

　キャッシュレス化が進み、小銭の出番も減ってきていています。近年、大手銀行では硬貨に対する手数料徴収を導入。最後の砦であった”ゆうちょ銀行”もいよいよ2022年1月17日より硬貨を預ける人に対して手数料を導入しました。窓口への持ち込みは50枚までは無料それ以上は有料になり、ATMだと1枚から110円の手数料がかかることになっています。

さりとて、神社へのお賽銭は小銭のオンパレード。そんな中で大阪の住吉神社が始めたのが，コインチェンジというサービスです。「コインチェンジ」は、お賽銭を入金するときに手数料を取られるのを困っている神社と、お釣り用の小銭用の両替手数料に困っている商店とがお互いに助け合い、神社へのお参りがふえることを願ったプロジェクト。お釣りの小銭に困った商店主は神社に行き、”おさい銭”と無料で両替できるというわけです。

みんなの小銭事情

そんな中、園部本町繁栄会の会員内でも「小銭」に関するいろいろな声が上がっていました。

副会長でガソリンスタンドを経営する飯田学さん（以下、飯田さん）は、「何年も前から小銭の両替については困っていたんです。まず、園部や亀岡の郵便局がだめになって、車で京都市内に行く用があるときは中央郵便局（京都市内）まで行っていました。その内、信金や郵便局で両替機がなくなっていき、小銭にするには手数料を払わないとあかんようになって。」

「あるところでは、1000枚で600円の手数料をとるところもあり、1円を1000枚だとそれだけで600円取られることになって、何をしているのかわからなくなる（笑）」

「うちはガソリンスタンドなので、釣り銭として一円が一番欲しい。たばこの自販機があるところは、100円はいらなくて10円が欲しい。神社は、御賽銭で小銭が貯まるし、ご縁という縁起担ぎのせいか5円玉は特に多いらしいし・・・。」

「他にも写真館を営む北村さんところでも、幼稚園などで行事や様々な時に撮る写真を販売する。その『集金時には小銭が一杯貯まり、それを入金しようとすれば手数料を取られる』とぼやいたはったな」とのこと。

そんな商店街のみんなの声をきいて、谷尻昌史さんは（前々会長・以後、谷尻さん）は、大阪の住吉神社の事例を思い出し、「うちでもできそうだ」とピンときたとのこと。本町繁栄会の有志に声をかけるとともに、生身天満宮禰宜の武部由貴子さん（以後、武部さん）に相談をもちかけました。

生身天満宮との繋がり

「令和４年春祭り 神楽殿」

南丹市園部町にある生身天満宮（いきみてんまんぐう）は、全国に12,000社ある天満宮の中で、菅原道真公が生きておられる時からお祀りした唯一の神社。これが日本最古の天満宮と称される由来です。

祭礼を始め、お神輿・稚児行列なども地域の大切な文化財産として引き継がれています。近年「地の和・人の輪市（天神さんの自然で優しい手作り市）」を開催されており、地域の輪、人の輪を広げていきたいとの思いも強く、今回の谷尻さんの申し出にも快く応じてくれたとのこと。

そのこともあって、今回の取組みは「地の和人の輪ぷろじぇくと」と名付けられました。始めるにあたっては、まずは、生身天満宮の）本町総代でもある谷尻さんと禰宜の武部さんとで細部にわたり取り決めをされたそうです。

「大阪の住吉さんは2、3回で両替用の硬貨が足りなくなった様なので、ここでは①毎月25日(月次祭)に両替会を開催する。 ②コインケースを使用する。 ③商店主も両替用の硬貨を持ち込める等を決めました。」

「現在は、本町繁栄会と道の駅、天神さんでの取り組みですが、カタチが出来れば拡げていきたいと考えています。 また、棒金の機械のリースや中古購入も検討しましたが、100均のコインケースごと交換

というのが、ベストな方法ですね。」と谷尻さん。

ある１００均のコインケースが一番使いやすいので買っていたら、周辺では品薄になってしまったとか。

どこの商店街でもできるわけではないですが、日頃から地域との繋がりがある神社・仏閣はもちろんのこと、この活動を始めることで、神社・仏閣への来訪する機会が増えたり、商店街側では小銭にまつわるあれこれの問題が解消されたり、両者ウィン・ウィンの関係が始まればいいですね。

◇生身天満宮:京都府南丹市園部町美園町1-67