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【第24号】今や、世界中に広がりはじめた「いす-1グランプリ」。この企画にたどり着いた、アイデアの裏側を聞いてみました。|キララ商店街
2018/03/05

 

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近鉄・新田辺駅の東側に位置する「キララ商店街」。2008年に「新田辺東商店街」から愛称を変更して以来、「キララ商店街」という名前で親しまれています。

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そんなキララ商店街ではじまった、一風変わった耐久レースがあることをみなさんはご存知でしょうか。このレースは日本国内(北海道〜九州)の開催だけでなく、台湾やマレーシア、シンガポールなど世界各地でも開催されています。

その名も「いす-1グランプリ(以下、いす-1GP)。

みなさんが学校の職員室や職場で一度は目にしたことがある「事務いす」を使ったレースです。一体どんなレースなのか、どのような経緯で誕生したのか、現在キララ商店街の理事長を務めている田原 剛(たはら つよし)さんにお話を伺いました。

 

「すべては、地域の子ども達の未来ために。」いす-1GP誕生秘話。

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2010年に理事長になる前から、キララ商店街の活性化事業に取り組んできた田原さん。シャッター商店街になり、まちが寂しくなっていくなかで、「何か、子ども達が自分のまちを自慢できるものをつくれないか」と思ったことがすべてのはじまりでした。

2008年2月に、商店街の40代前後の店主や従業員、同志社大学の学生など、若手メンバーが10名ほど集まり、新田辺東商店街の活性化に取り組むプロジェクトチーム「EVO&revo(※1)」を結成。

まずは府の補助金を活用して、「キララギャラリー」というギャラリースペースを開設し、商店街に人が訪れるきっかけづくりからスタートしていきます。その後、キララフェスティバスの開催や商店街のホームページ・マップの作成など、情報発信にも力をいれていきました。

マップ作成の際、田原さんは商店街の周辺にある商店も1軒1軒まわって声をかけ、地域内の商店のネットワークを広げていきます。新しく商店街に加盟してくれたお店や、「商店街には入らないけれど、活性化に協力するよ!」というお店もあり、みんなでお金を出し合いながら、マップを作成しました。

同時に、商店街の愛称を「キララ」に変更。その由来は、“光るものには人が集まる”  ということで、小さいけれど、いつも笑顔がキララと輝く、未来に誇れる商店街を目指したいという思いを込めて。

このように少しずつ取り組みを重ねてきたことで、地域や商店街にもだんだん変化が生まれていきます。

※1)EVO&revo・・エボリューション(進化)&レボリューション(革命)から命名。田原さんが代表を務めた。

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▲マスコットキャラクターを公募したところ、全国から183作品の応募があったそう。

 

こちらがキララ商店街のマスコットキャラクターの「キララちゃん」。子ども達にも大人気のキャラクターとなっており、取材日に突然登場したキララちゃんに「あ!キララちゃんや〜!」と通り過ぎる子ども達が手を振っていました。

現在、キララちゃんは地元のイベントや交通安全の啓発活動、全国各地のイベント等に出演。ビリーズブートキャンプや韓国のアイドル「少女時代」のPVにも登場しているなど、テレビやイベント等で国内外の有名人とも共演しています。

2008年11月には「チューリップ大作戦」を実施。これは、地域の幼稚園児達が商店街でチューリップを植えるという取り組みです。「子ども達がチューリップを見にくるから、枯らせるわけにはいかない!」と、商店街の方々が一生懸命世話をしたり、親御さんが子ども達と一緒に商店街を訪れたりと副次的な効果もあったそう。

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精力的に活性化事業に取り組む一方で、「商店街はもう、わたし達の生活の中にそこまで必要ないのかもしれない。」とも話す田原さん。

「それでもやっぱり、これからも商店街があってほしいと思うのは、ここが子ども達が育っていく『地域』だからです。学校の勉強やインターネット内のやり取りだけでは学べないことを学べる場だからこそ、商店街を残していきたいなって思うんです。」とお話は続きます。

田原さんが理事長に就任したタイミングで「EVO&revo」を一緒にやってきた仲間達も、商店街の役員となりました。そんな2010年の3月にはじめて開催された「いす-1GP」。

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▲「いす-1GP」開催の様子。(Facebookページより拝借)

 

-田原さん、よろしくお願いします。改めて「いす-1GP」のルールを教えていただけますか。

田原さん(以下、敬称略):「いす-1GP」とは、事務いすに乗りながら、3人1組みでコースを何週走れるかを競う交代制の2時間耐久レースです。事務いすは持ち込み制となっています。

-おもしろそうですね!「いす-1GP」はどういった経緯で誕生したのですか?

田原:まずは、日本のどこを探してもやっていないイベントを開催したいと思いました。そういったイベントがあると、「〇〇をやっている、地元のキララ商店街」という風に、地域の子ども達が自分のまちを自慢できるんじゃないかと思ったんです。

なるべく身近なもので、商店街の店主でも参加できるものを使おうと思った時に、小学校の頃、先生に怒られながら「事務いす」で遊んだ経験を思い出し、事務いすレースを発案しました。

-2010年に第1回を開催するにあたって、何か工夫したことはありますか?

田原:チラシやポスターには「全国初」と必ず記載しました。そういった細かい部分に気をつけながら情報発信をしたことで、多くのメディアが取り上げてくれ、Yahoo!トピックスの記事が、1日で17万アクセスを記録したんです。これは驚きでした。

さらに、3月はキララちゃん1歳の誕生日。先ほどお伝えした「チューリップ大作戦」ですが、チューリップも3月に咲きますよね。なので、地域の方々がいろんな目的で商店街を訪れてくれるように、全て3月に開催することにしました。地元の方へは「キララちゃんをお祝いしに来てね」「子ども達のチューリップを見に来てね」とPRしつつ、「いす-1GP」も同時に楽しんでもらえるよう工夫しました。

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▲取材日はケーブルテレビ「J:COM」の取材も行われていました。

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▲舞妓さんも事務いすに乗って「いす-1GP」に挑戦!

 

-どのように、他府県や海外へ「いす-1GP」が広がっていったのでしょうか。

田原: 国内に広げていけたきっかけは、「100円商店街」の火付け役となった齋藤一成さん(山形県新庄市役所)のお声がけで、2013年に新庄市で開催できたことだと思います。テレビや新聞等でも取り上げてもらい、どんどん拡散していくことができました。また、第20回「 ふるさとイベント大賞」で京都府初の賞を受賞できたことも、国内で知ってもらうきっかけになったと思います。

海外は、YouTubeに流した動画を見て「うちの国でも開催したい!」と連絡をしてくれたことがきっかけでした。それがまた海外メディアにも取り上げてもらえ、さらに他の国へ広がっていきました。

-そんな「いす-1GP」の、今後の展望についてお聞かせください。

田原:今後は、クラウドファンディングなどを活用しながら、2020年の「東京オリンピック・パラリンピック」開催までに、世界各地に広げていきたいと思っています。最終的には、F1-グランプリの聖地であるモナコで開催したいですね。

また、京都府内のほかの商店街にも「KARA-1グランプリ」や「鍋-1グランプリ」などの取り組みがあるので、連携して何かイベントができると面白いと思っています。

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▲「いす-1GP」台湾で開催した時の様子。(Facebookページより拝借)

 

商店街活性化の定義は、前向きに考え 自分で行動をおこす人が増えることだと田原さん。2008年の「EVO&revo」結成時から、常に動きながら考え柔軟に対応してこれたからこそ、今があると振り返ります。

また、イベントや地域活性化事業の成功は「人の心をどれだけ動かせるか」が肝となります。いかに共感を得られるか、関心をもってもらえるかが大事で、そのためにも「メディア戦略」に力を入れているのだそう。自分が直接話せるのは10人くらいまでだけれど、メディアに掲載されればもっと多くの人に伝えることができるし、商店街の取り組みを歴史に残していくこともできるからです。

最後に、田原さんがここまで精力的に活動してこれたエネルギーの源をお伺いしてみました。

「本業であるカメラの仕事で、地域の幼稚園や保育園に撮影に行くことがあります。子ども達の笑顔を見ると僕自身も元気をもらえるし、『この子達が元気に暮らせる地域にしたい』という気持ちも湧いてきます。そういった、地域の子ども達の笑顔が身近にあることが、僕の元気やモチベーションの根源かもしれません。あとは、自分から行動していくことで、困った時にいろんな人が商店街の取り組みを手伝ってくれるようになりました。そんな仲間がいることも、ここまでやってこられた秘訣ですね。」(田原さん)

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最近は、「お化け屋敷」など大学生発の企画もいろいろと開催しているキララ商店街。お化け役はシルバー人材センターに依頼し、地域におられる方々の活躍の場にもなっています。

ほかにも、イルミネーションのイベントや商店街の空にアーケードのようにカラフルなビニール傘を並べた展示イベント、ハロウィンのイベントなど若い世代の視点を取り入れた企画なども次々と開催しています。今後の活動にも注目ですね!

 

最終戦:京田辺GP開催概要

・開催日時:2018年3月24日(土) 午前9時~16時30分
・開催場所:キララ商店街内特設コース(京都府京田辺市)
・参加費:1チーム5,000円(保険料・いす1GP協会費1,500円を含む)
・参加資格:
① 年齢:高校生以上。
② 性別・国籍不問。
③ 1チーム3名とする
④ ヘルメット・手袋・ひざパット・ひじパットは各チームで用意して、必ず着用すること。
⑤ 代車1台を含め2台まで持ち込み可能
⑥ 最後まであきらめない熱い想いも持っていること。
競技規定・車両規定はこちら >>

■お問い合わせ先■
いす-1 京都京田辺大会事務局
〒610-0361 京都府京田辺市河原食田10-48 カメラのトモミ堂内
メール:isu1kyotanabe@gmail.com
FAX:0774-63-5548
HP:http://isu1gp.com/

ライター
Anna Namikawa
地域
山城

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