JR福知山駅の正面に位置する「福知山駅正面通り」で、『福知山フロント株式会社』(以下「フロント」と記載)が、空き店舗を活用したテナントミックス事業等で活躍されています。フロントは、平成27年12月に福知山駅正面通商店街振興組合と若手有志が設立した民間まちづくり会社。平成28年度にはゲストハウスと焼肉店。平成29年度にはラーメン店。平成30年度にはケーキ店、エステネイルサロン店、うどん店、美容室を誘致するほか、平成31年度には直営事業として5部屋を有するシェアオフィスの開業を目指し、快進撃は続きます。
このように次々と事業を進めることができるのはなぜなのでしょう?
フロントのメンバーに、事業に関わるようになったきっかけや思いをお聞きし、その秘訣に迫りました。
丹念な働きがけから実を結ぶよろこび
フロントに関わったきっかけは、「岸本くんに誘われて面白そうだと思ったから」と、 まずフランクに口火をきってくれたのは、奥田 友昭さん。
奥田さんの本業は印刷会社。さらに栗農園の経営という新しい事業にも着手されながら商工会議所青年部の活動、その上フロントと、多方面に大活躍されています。その中でフロントが「一番崇高な存在」(奥田さん談)なのだそう。そこで一筋縄ではいかない案件に挑むことは、奥田さんいわく「苦行」だそうですが、フロントはみんなと一緒になって「なかなかできない経験をできるところ」として大切にされています。
事業では、まず奥田さんが先陣をきって、空き店舗の持ち主や駅正面通り商店街で開業を希望する事業者へ積極的に話をしに行かれます。 ことの始まりから終わりまで、何時間でも相手が納得するまで思いを粘り強く説明されるそうです。口説き落として、先方が空き店舗に出店され、利益が生まれる・・・自分の働きがけが実を結んでいくことが嬉しいと話してくださいました。
フロントは「ライフスタイル」
「フロントは『ライフスタイル!』」と言われる岸本 道徳さんは、アパレル会社を経営されています。奥田さんと同じく、商工会議所青年部の活動にも携わり、特にまちづくりに高い関心を持たれていました。自分のポリシーを持ち、きっちりと意見を出せる岸本さん。そこを見込んで、福知山市役所より「市の玄関口である駅正面通りの活性化を中心になってやってほしい」とお声がかかったそうです。これを機に、岸本さんは駅正面通り商店街に関わるメンバーを集め、フロントをはじめます。
岸本さんにとって、みんなと共にフロントで動くことが、もはや生活の一部「ライフスタイル」なのだそうです。
岸本さんは、奥田さんと同様、空き店舗への誘致を積極的に働きかける一方、自らも空き店舗を活用したゲストハウスも開業されています。
「やるからには結果にコミットしないと!」の強い意志で、次々とアイデアを提案しながら、自ら現場作業で動く岸本さん。ゲストハウスの内装や外装は、デザインだけでなく、自ら板を切ったり打ち込んだり施工も行われたそうです。
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▲ 岸本さんが自ら手がけたアメリカンカジュアルスタイルのゲストハウス「NORTH FRONT HOSTEL」
気さくな雰囲気のゲストハウスは、岸本さんの人柄を表すよう。熱烈なファンができ、客が客を呼び、いつも人で賑わっています。
人を引き寄せるという天賦の才能のお陰か、駅正面通り商店街に関わるメンバーを集めていた岸本さんは、後に「(メンバーに)入ってもらったのは、ほんまによかったわ~」といえる、高見さんや久世さんに出会います。
「サタデーズナイト」は任せた!次に続く若い力
心強い若手の一人、高見 哲也さんは、フロントが昨年取り組んだ夏祭イベント「サタデーズナイト」*ではイベント担当部長として活躍されました。いつもは乳製品の販売をされています。朝早くからの配達があっても、フロントでの仕事もフットワーク軽く動かれます。
二人目の久世 純也さんは、電気工事会社を経営されています。「サタデーズナイト」*では、夜の雰囲気づくりにはなくてはならない電灯や夜店への電力供給に大活躍。運営に必要な電力を巧みに配備されました。空き店舗活用の際には、建物の設備確認でも頼もしい存在だそうです。
*「サタデーズナイト」は駅正面通り周辺地区の夜間経済の振興を図るための実証事業として、今年度初めてフロントが主催した夏祭で、魅力的な夜間景観がつくられました。開催には気持ちよく手を貸してくれる多くの力がありました。長い丸太を組んでの立派な「サタデーズナイト」のゲートも、商工会議所青年部仲間の力持ち男子たちの支えがあってこそ。子どもたちに大好評だったお化け屋敷や夜店には、福知山公立大学の学生たちも活躍されました。
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▲ ファミリー層に向けた参加型・体験型の夜店が並び、駅正面通りの夏の夜を賑わせた「サタデーズナイト」
あきらめない攻めの姿勢でいく
杉本 潤明さんは、仕事の本拠地が京都市内にあるにもかかわらず、月に何度か会議のために福知山へ通っておられます。
きっかけは、商工会議所青年部の後輩である奥田さんから「なんかねぇ、すげーおもしろいことがあるんで、ぶぁーっとやりませんか?」と声をかけられたこと。「もちろんノリで関わったのではなく、ちゃんと意味や意義のあるものだと感じたからですよ」と笑いながら話してくださいました。
20年ほど前の商店街を知る杉本さんは、地元の人が活躍し、繁盛する商店街の姿を「もっかいつくらないと」という思いを抱いておられました。そこへ岸本さんや奥田さんなどが商店街活性化に取り組む話を聞き、一緒になってやれば、思いを現実にすることが出来るように思われたそうです。
杉本さんは、フロントの動きをサッカーのゲームに例えて「キーパーだらけで守りになるのではなく、『たとえ点数をとられても、またとったらいい!』という攻めの姿勢がいい」と言われます。果敢な挑戦を今後5年10年と続けていき、部分的に変わり始めた福知山駅正面通り商店街が、全体的に変わっていくのを楽しみにされています。
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バランスの良さが速攻ワザを生む
フロントで代表取締役を務めるのは秋山 保彦さん。普段は洋服・雑貨を扱う会社を経営され、福知山駅正面通商店街振興組合の専務理事でもあります。
フロントのメンバーは「バランスがいいんやね」と秋山さん。「兄貴分(杉本さん)がいて、やんちゃな弟たち(岸本さんや奥田さん)がいて、さらに続く頼もしい弟たち(久世さんや高見さん)がいる。やんちゃなんも、うちの子どもがピーチクしてると思ったら気にならん」とドンと構えた姿が頼りがいのあるお父さんのようです。
もう一人のお父さん役は、フロントの取締役会長を務められる人見 茂さん。衣料店を経営され、福知山駅正面通商店街振興組合の代表理事も務められています。
秋山さん、人見さんは、いわば「防波堤」の役割。外からの声を受け止めクッションとなり、みんなが事業を進めやすいように見守っておられます。
フロントの良さは、メンバーが気持ちを一丸にし、各々の役割を果たしながら、次々と素早く動くところ。一般的に商店街組織の中で事を進めようとすると、さまざまな思惑が絡まって進みにくいこともあるようですが、フロントだと、速やかに「GO!」ができて決裁も早いのだそうです。
熱い思いに惹かれて
フロントの取組が素早く動けるのには、フロント自身だけでなく、心強いコンサルティングの支えがあってこそ。株式会社Localizeの庄田 健助さんと、オフィス広瀬の広瀬 今日子さん。二人がフロントと一緒になって、空き店舗の整理や契約などの事務、イベントの準備などを縁の下の力持ち的に支えてくださっています。
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▲ フロントメンバーと共に会議で盛り上がる庄田さん(左端)と、(奥田さん、秋山さんを挟んで)広瀬さん(右端)
「縁あって会社の立ち上げから携わらせていただいてます。フロントのメンバーの熱い思いに惹かれ、少しでも思いを実現するお手伝いができればと大阪から通っているんです。」と広瀬さん。
フロントのメンバーの福知山駅正面通り商店街を活性化させたいという思いは、強い!
そして、関わる方同士の思いが共鳴し、メンバーを超えて協力者も広がっています。
役者が揃ったこのメンバーだからこそできた「適材適所」での動き―それぞれの力が最大限に発揮されて生まれるスピード感。その行動力と、携わる方々の熱いこころがその秘訣なのかもしれません。
福知山フロント株式会社WEBサイト:http://www.fukuchiyama-front.co.jp/