若者が商店街を訪れ、意見交換やまち歩きを通して「商店街」の可能性を探っていくイベント企画、商店街フィールドHACK。
今回は宇治市・小倉で新しく「小倉篤志の会 (おぐらとくしのかい)」(以下、篤志の会)という商店街を立ち上げた方々の元を訪れました。当日は地域の若者や商店街に興味のある若者、府や市の職員さん、小倉にお住まいの方々、そして篤志の会のメンバーなど、総勢10名ほどが集まりました。
まずは宮川会長に篤志の会設立の経緯やこれまでの取り組みなどを伺うところからスタート。篤志の会は、昨年誕生した5店舗からなる商店街のこと。
“何にもないからこそ、みんなで発掘して盛り上げていきたい”
ある日の飲み会で、小倉を盛り上げるために「何かしよう!」と結束したことから始まり、2016年3月に「OGUZANIA」(※1 以下、オグザニア)を開催。
※1)オグザニアとは…「つなぐ」をテーマに初めて開催された、小倉地域の活性化を目指したイベント。1日を通して、子どもから大人まで気軽に集まって交流できるよう、地元宇治の宇治茶を楽しんでもらえる飲食ブースや大学と連携した飲食ブース、和太鼓や健康の催しものもの、フリーマーケットやゲームなどが企画されました。
オグザニアを開催してみると、小倉でのイベント自体が久しぶりだったこともあり、当日は650名ほどが来場されました。京都産業大学とコラボした丼ぶりや宇治茶漬の出店、ゲームコーナーやフリーマーケット、そしてステージなど、親子でも楽しめる企画だったそう。
ですが、初めてのイベント企画でメンバーが少し疲れてしまい、再起のタイミングを見計らうことに。もう一度イベント企画をするにあたって、「様々な視点で商店街の可能性を探りたい」ということで今回、フィールドHACKの実施が決定しました。
会長からお話を聞いた後は、みんなで小倉をまち歩き。まずは、お話の中に出てきた近所の「巨椋神社(子守神社)」へ。
「ここで昔あったお祭りで鯉つりやったな〜」「神社のこんなところに “禁酒” って書いてある!」「こんな近くにこんなところがあったんや!」「ここを借りて地域のイベントとかできるのかな?」など、改めてみんなで “まち” を歩いてみると、様々な発見がありました。
次に訪れたのは、篤志の会のメンバーである谷さんが店長を務めるかまど家さん。
こちらのかまど家さんには小倉限定メニューの「宇治茶漬け弁当」があります。こうやって様々な業種、世代から小倉を盛り上げているのが印象的でした。
「オグザニア以外にもこんなアイデアあるんやけどどう?例えば…」と、これまで皆で話してきたことを谷さんに共有していきます。
そして最後にもうひとりの篤志の会・若手メンバーがパテシエを務める、ケーキハウス しゅろの木さんへ。
この人数でまちをぞろぞろ歩いていることが珍しかったのか、下校中の近所の小学生が興味津々でした。
“同世代(20代)はいるけれど、寝に帰っているだけ” としゅろの木の山本さん。「それでも自分は小倉が好きやから」というひと言はとても心強く感じました。
まち歩きを終えてからは、みんなで「本日の気づき」と「アイデア」を共有。
改めて歩いてみると、「人通りが少ないことや、エリアが広いことに逆に難しさを感じた。」と会長。
その他にも「この辺の人は意外とペット好き?」「迷路のように感じた。すごろくみたい!」というお声や、「店が思ったよりも近くにたくさんある印象を受けた。」「おしゃれなバー、スナックなどがたくさんあり、地元の人が来るだけで変わるのでは?と思った。」という意見。そして、「正直なところ、『小倉』のイメージが湧きにくい。」「目的をもって来てもらうために、歩くルートの提示が必要な気がする。」など、それぞれの視点から感じたことを共有しました。
若手メンバーからは、
「中高生をターゲットにするなら、普段と違う服装ができる “仮装系のイベント” はどうでしょう?」「それによって写真やSNSを使う機会がアップするのでは?」
「今日まちを歩いているだけで小学生が興味を示してくれた。なので、子どもが来やすいまち歩きイベントもいいのでは?」
「お話の中で “小倉は衰退を繰り返して来た歴史” があったみたいなので、ストーリーを作ってクイズラリーのように、RPG形式で攻略していくまち歩きはどうか?」という意見がありました。
最後に若手プロジェクトリーダーのタナカ氏から、
「昼は親子向けにオグザニア、夜は大人向けにオグマニアという展開はどうか?」
「メンバーの中に車屋さんがいるので、キッチンカーを作ってみては?」
「小倉(こくら:北九州市)と姉妹商店街を結ぶのはどうでしょう?」
「小倉を楽しむ人たちを「OGURER (オグラー)」として発信していきましょう!」
などなど、たくさんのアイデアが共有されました。
そして最後に、参加者全員で記念撮影。
小倉にずっと暮らしている人や初めて訪れた人。それぞれの視点から「商店街」を見ることで、これまで “課題” だと思っていたことが “可能性” に変わることがあります。商店街フィールドHACKがそんなきっかけになれれば幸いです。「小倉篤志の会」のこれからが楽しみですね!
「住んでいる地域の魅力」とは一体何なのでしょうか。どこか特定の場所で長い間暮らしていると、初めは新鮮に感じていたはずの物事が “日常” になっていきます。それはきっと、その地域にそれだけ馴染めている証拠。ですが “日常” は時として「先入観」に変わってしまうこともあります。
今、商店街や地域に必要なのは、そうした “当たり前” になってしまった日常を捉え直すチカラではないでしょうか。今回、様々な立場の人たちと一緒に小倉を歩いてみて感じた、「誰かにとっては懐かしい、誰かにとっては新しい」という風景。新たな気づきやアイデアは、案外近くに転がっている気がしました。