お客様との対話から新商品を生み出す/磯野開化堂:磯野修一さん
「いつでもどうぞ」、気さくにウェルカム。そんなオーラが漂う磯野さんに惹かれてふらりと中へ。茶箱が並んだ店内は、居心地良くどこか懐かしさを感じる。
磯野さんは、お茶の魅力である「ほっとする」心地や、「いっぷく」の時間、「ひとくぎり」の気分転換をお客様に届けることを大切に思っている。
「利便性追究ではなく、お客さんとぐっと近くに寄れる距離が商店の強み。お客さんとの対話の中からニーズに応じた新しいものをつくります。」と語り、多言語対応のティーパック商品、桜をあしらったフレーバーティー、良質素材にこだわったアイスクリーム等の商品や、お茶パックづくり体験など、次々と商品を生み出している。
地域の個性がひかる、散策イベント『みやさんぽ』
磯野さんの積極的な取組は、自分のお店だけにとどまらない。地域の皆で元気になるイベント「みやさんぽ」にも取り組んでいる。「みやさんぽ」は、地域の色々な方の特技や趣味を活かした催しを、商店巡りを交えながら楽しめるイベントだ。準備をしながら『仕事じゃない出会い』の関係性も楽しむ磯野さん。2015年から始まり、自然とくっつくコラボが展開して、楽しみもふくらんできている。
また磯野さんは、「みやさんぽ」のように食事と併せて街巡りを楽しむスタイルを、ホテルや天橋立の集客を引き込んで根付かせたいと思い馳せる。「ここならではの、歩ける範囲の町並に情緒があることを大切にしたい」と語る。
商品の販売だけでなく、地元のネットワークを活かした回流と交流を視野に入れた取組は、これからますます多くの人を元気にしてくれそうである。
磯野開化堂
〒626-0015 京都府宮津市魚屋954
電話: 0772-22-1185
HP: 源【みなもとや】by 磯野開化堂 http://www.umai-cha.jp/
FB:うまい茶の店 磯野開化堂 https://www.facebook.com/isonokaikado/
地域のホームダイニング/山小舎:川﨑裕子さん
「CoffeeとLunch山小舎」は、地域密着型の喫茶店。コーヒーとランチだけじゃない家族のような付き合いが、山小舎=川﨑さんを頼りに広がっている。「ちょっとランチの配達お願い~」「ちょっと待っとってぇよ~」小気味よいやりとりで、店を回しながらも喫茶にとどまらない地域のお客さんの要望にも温かく応える川﨑さん。近所には高齢の方も多く、コーヒーやモーニングの配達、配達ついでのちょっとしたご用聞きまでされている。
お店は、30年前からある。もともとはアルバイトとして勤務しており一旦は離れたが、前オーナーがお店を閉められてから、再び「ゆうこちゃん、やってくれへんか」と常連客達からの川﨑さんへの熱い要望で、お店を再開。
コーヒーチケットを入れたお客には、その人のイメージに合わせたカップでコーヒーを提供している。
地域の力でつくる活性化イベント
5年くらい前には季節のよい5月6月に、市役所の裏庭に7,8軒で毎水曜日に屋台出店をして盛り上がりもみせた。3,4年は単発でやったり、今もメンバーとのコミュニティは活きているが、露店許可や持ち出しを繰り返すのはなかなか大変で今はない。お店にお客さんが立ち寄ってくれるスタイルの「みやさんぽ」のイベントはやりやすく、「磯野くんに感謝している!」と川﨑さんの口からも磯野さんのお名前が。継続できるやり方、コミュニティの繋がり、程よいスタイルが「みやさんぽ」のようである。
目指すは、山小舎ブランド構築!
川﨑さんがイベントで生み出した「宮津バーガー」は、実家の山芋を魚のすり身と合わせた具がさくさくもちもちの食感で好評だ。川﨑さんのご実家も宮津の府中地区。地元産を活かした商品開発に取組んでいる。「宮津まごころ市」にも出す手作りドレッシングも、実家のタマネギが活躍している。将来的には、「山小舎ブランド」ができればと挑戦は続く。
ぽっとあかりを灯すように川﨑さんの温かさが、地域を照らす山小舎。人との繋がりをあたためて明るくする商店ならではの力を感じた。
CoffeeとLunch山小舎
【営業時間】9:00~16:00 【定休日】日曜・祝日
〒626-0015 京都府宮津市字魚屋919-1
電話:0772-22-3717
新たな芽を熱く見守る応援団長/田上酒店:彦坂昭治さん
「もっとおもしろい活動が出てきたらええと思ってる!」と熱く優しいエールを語る魚屋栄伸会・彦坂会長。
昔は、若い人が新しいことをしようとすると、出る杭打たれる厳しさもあったが、商店街や商店の衰退の危機感も強まって来た今日では、「やれやれー♪」「応援したんならん!」という応援態勢になってきているそうだ。
磯野開化堂の修一さんのことも「おやじの代ではお茶だけだったが、アイデアを出して行動にうつす力が凄い」と高く評価している。宮津駅前商店会会長の「散髪屋の加藤くんも、蛍観賞に行って上宮津の夢会議の会員になってきたらしい!」と若い力を頼もしく見守っている。
お客さんに寄り添った小回りの利く力
彦坂さんが営む田上酒店は、店頭販売ではなく配達を専門にする酒屋さん。馴染みのお客さんへ昼夜休み問わず臨機応変な対応で、縦横無尽にお酒を配達されている。
お客さんに寄り添った地域の商店ならではの温かさや小回りの利いたサービス、そして、挑戦して行こうとする力と、それを後押しする応援の力が息づく宮津の商店街。じわじわと元気の波及効果が広がってゆくのを楽しみにして行きたい。
田上酒店
〒626-0015 京都府宮津市魚屋967
電話:090-5645-1020