久御山町ってどんなところ?
京都府久世郡久御山町、京都府の南部に位置する町です。
久御山町には、アーケードのある商店街はなく、商店が点在しています。さらに、大規模小売店舗の出店計画が持ち上がり、危機感をもった商店主さんたちが、地域でなんとか頑張っていこう!と団結して、「久御山サービスカード会」を平成11年3月に発足させました。久御山町全域を1つの商店街としてデジタル方式の『くみやま楽楽スタンプカード事業』を行いました。
設立時には、53店舗あった商店も、今では廃業や退会で16店舗に減ってしまいました。
店舗が減少すると、ポイントが集めにくくなり、ポイントの魅力が低下していきます。さらに機器が老朽化して維持・更新に経費がかかってしまい、新規加盟店の募集にも支障となっていました。
「機器を更新しようか、ほかの方法に変えようか・・・ポイントカードを続ける方がよいのか、後継者問題もあるけれど自分たちの代では終われない」と役員さんたちは、どうしたらいいか悩んでいたそうです。
このままでは自分たちでは考えがまとまらない。一度、だれか外の人の意見を聞いた方がいいのでは?と片岡さん(久御山町商工会経営支援員)の提案もあり、タナカユウヤさん(商店街活性化若手プロジェクト・(株)ツナグム)を呼んで、ワークショップを開催することになりました。
ワークショップでは、まず、今後活動していくための指針となるコンセプトや企画づくりのために、みんなで久御山地域の魅力や特徴についてそれぞれが発表。
地元では有名なパワースポットである雙栗(さぐり)神社、大庄屋の旧山田家(登録有形文化財)、巨椋池干拓の時に干上がった魚を供養する大中内神社(おおなかうちじんじゃ)など。また、景観では、KBS京都久御山送信所のラジオ電波塔(2018.11月「くみやま夢タワー137(いち さん なな)」と命名)、東一口(ひがしいもあらい)の前川(巨椋池排水幹線)堤の桜並木などの話も出ました。あれもこれもと言っているうちに、みなさん自分の地域の良いところやモノを再認識したようでした。
参照⇒ 観光|久御山町ホームページ
そして、何回かこのような会合や、他のスタンプカードを実施している商店街(京都三条会商店街振興組合)へ視察に行ったりしながら検討を重ね、「いまここで動かへんかったら、やるときはない。やろうやないか」と加川副会長の一声もあり、シール式ポイント制度に変更することを決定。
全体のデザインなどを決めるためのキーワードやアイデア出しは、会議だけでなく懇親会でも行い、みんながより本音で話し合えるような雰囲気に。その甲斐もあり、その後、面白い企画もどんどん決まっていきました。
きっかけは、ヤマゼンさんの自己紹介から
ヤマゼンの久徳(きゅうとく)さんは、親から引き継いだ衣料品販売店を経営。自己紹介の時に「昔の学生服(地元の中学校の制服)の在庫がいっぱいあります。この制服を着ていた人たちにとっては懐かしいと思います、イベント等で使ってもらえたら・・・」。そんな話を聞いて、「うちのカードも昔スタイルのポイントシールに戻す、それなら制服を着て『昔に戻りました』とPRするのもええなぁ」、「面白いやん」ということになり、懐かしい中学の制服を着て、ポイントシールのPRポスターを作ることになりました。
これまでの自分たちでは思いつかないようなアイデアをもらい、背中を押してもらったことで
「今やらんといつやる!」となったことが良かったと話す三役。
ポスターのモデルは、カード会の三役が。撮影当日は、学生服姿に照れながらもノリノリ
新しいけど古いスタイル?のポイントシール!
ポイントシールは、100円毎に1ポイント進呈され、台紙に貼って240ポイントで満点になります。満点の台紙は、加盟店で300円のお買い物券や久御山サービスカード会のイベント券に交換されます。
昔ながらの紙の台紙と糊貼りタイプのポイントシールには、ワークショップで出た会員イチ押しの久御山特産の淀大根、巨椋池、子ども神輿、とんど焼きなどがデザインされていて、地域の宝ものがひと目でわかります。
ポイントシールに変更して、お客様の反応は「前の方が楽で良かった」という声もある一方、高齢の方からは「昔に使っていたので懐かしい」という声もあり、磁気カードより、シールを貼った台紙を見ると貯まっていく様子がわかっていいと喜んでもらっているそうです。
お店側としても、シールを数えて渡すことは手間だが、カードを持って来られなかったお客さまにもシールなら渡すことができるので、損をした気分を味わわせず、渡す時に時間が掛かる分、会話の機会ができた等メリットもあります。
積極的なPRを自分たちで
2019年4月の新ポイント制度スタートに向けたイベントとして、3月24日に大抽選会を久御山町商工会館前の駐車場で開催。3月末で移行する旧カード回収のために行われたものですが、これは、カード会独自で企画する初めてのイベント。
「今までのイベントは、何でも商工会任せになっていて」と尾崎会長。
今回の取組をきっかけに「自分ごと」としてのみんなの意識が変わってきたようです。
大抽選会に合せて開いた「1日ミニ商店街」では、会員店舗のPRとともに、久御山町内の店舗にも出店してもらうことで、カード会への入会につながればと企画されました。
この初企画イベント以降は、お客様に喜んでお店に来てもらえるようにと、貯めたポイントを活用できるイベントを企画。
2019年5月に開催された久御山町の「ふれあい福祉まつり」では、ポイントシールの中に1つあるスペシャルなシールを持参すると、スーパーボールすくいができる企画。スペシャルなシールを探すのが子どもたちに大人気となりました。
⇒
スペシャルなシールは、シールの中に複数あるお神輿のデザインのうち、上に子どもが乗っているものです!
同年8月の雙栗(さぐり)神社の八朔祭りでは、カード会が「ミニ夏祭り」を開催し、子ども向けゲームの参加者に台紙とポイントシールを渡すなど、新たな顧客層(子育て世代)へ向けてポイントシールをPRしました。
現在は、会員メンバーの高齢化から、若返りのために新しい加盟店の巻き込みが課題となるカード会。
加盟店を増やしてポイントの魅力がアップすることで、お客様に喜んでもらえるようにしたい。そのためにもみんなで楽しく賑やかにイベントに出店して、カード会が盛り上がっているところを見てもらうことで入会につなげたいと話しておられます。
今後もマップづくりやSNSにチャレンジして、若い人の意見もどんどん取り入れたいと意欲的です。次はどんなことを始められるのか、久御山サービスカード会のこれからが楽しみです!