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【第27号】店にはお宝がいっぱい、博物館のような商店街を訪ねました |竹屋商店会(舞鶴市)
2018/06/08
前を通るといい匂いが・・・。髙孫商店は昔ながらの鰹ぶしやさん。お店の前で、髙本正弘さんと奥さまの千尋さん
前を通るといい匂いが・・・。髙孫商店は昔ながらの鰹ぶしやさん。お店の前で、髙本正弘さんと奥さまの千尋さん

竹屋町の昔と今

西舞鶴市街地中央部にある竹屋商店会。昔から高野川の水運を利用して、湊町として城下町の交易・商業の中心となって栄えたところ。

舞鶴が引き上げ者により人口が一時は12万人にも膨れあがり、その当時は竹屋町も銀行や商店の他、各地から運ばれてきた産物を保管する土蔵などが軒を連ね、人も物もあふれる活気のある町だったそうです。

写真の奥の方の町並が竹屋町(*昭和33年頃 第1回舞鶴まつり記念写真集より抜粋)

今は、お店がだんだんと無くなっていき、まちの風情も様変わっています。その中でも、竹屋商店会で昔ながらの佇まいが残っているお店、「髙孫商店」。代表の髙本正弘さんと奥さんの千尋さんに話をお伺いに訪れました。

後日、当時の様子がわかるようにと髙本さんが『第一回舞鶴祭記念写真集』を借りてきてくださり、「僕よりお姉ちゃんの方が、その時のことはわかると思う」と近くに住むお姉さんに連絡し来ていただいて、みんなで写真を見ながら再度話をお聞きしました。

▲現在の竹屋商店会

▲「これ、なんて書いたある?」店の屋号から.当時の場所を推測。

指さしている所が写真の場所

老舗の中は博物館?

かなり歴史がありそうな感じです。

「ここら辺の高野川沿いには、廻船問屋の蔵があって、船が横付けできるようになっていました。船が生活に深く関わっていて、私もポンポン船で母の郷に行っていた覚えがあります。小さいときは蔵と蔵の間の『ひやわ』でいつも遊んでいました。

うちは祖父の時には樺太で塩数の子をつくっていて、110番地にあった本家の家の前まで、舞鶴の機関車の引き込み線のレールが来ていました。残念ながら今は残っていません。店に関するものは明治22年位からの書類が残っています。鎮守府ができたときには品物を納めていました。」

※(ひやわ):髙本さんはそう言っていたらしいが、「正式にはひやわい」・・・狭い路地の意

今も現役の鰹ぶし削り機。店内にはふんわりと鰹ぶしのいい香りが漂います。

看板、それぞれにもエピソードがあります。

「昔、品物を扱っているお店からもらったようです。昭和62年に家を改装するときに、古い看板を大分ほかしたんです。建物の表正面の2階にかけてあった「かつおぶし」の看板も取っ払ったので、みんなから怒られました。看板がないと何屋さんかわからないと(笑)」。

「私が聞いたのは母からの話ですけど、内玄関裏に架けてあるヤマキの看板は、父、萬二朗が仕入れに高知に行って泊まった旅館で隣同士の方と看板を交換してきたものやそうです。笑い話みたいですけれど、昔はのんびりしていたんですね。」と奥さん。

新進漬けは、福神漬けのような漬け物だそう。当時は高崎市から来ていた。

新進漬けの看板が二つもありますね。   

数ある中でも新進漬けの看板はなぜか2つ。さぞ、重要な取引商品だったのでしょうか?新進漬けとは何ですか?と尋ねると「福神漬けのようなもんです」とのこと。舞鶴といえば、海軍カレー。カレーのお供として福神漬けは欠かすことのできないもの?!として人気商品だったのかもしれませんね。    

「新進漬けは樽で来てたかぁ?」とご主人。「いいえ、陶製のつぼみたいなのでしたよ」と、二人の掛け合いもとても微笑ましいです。

「新進漬けのお店はまだあるけど、その京都の佃煮屋さんは何年か前に閉めてしまった。三ツ矢ソースというのもあって、美味しかったけど、なくなってしまったなぁ・・」

いろいろな種類の調味料が次々と登場する中、地元ながらのソースやさんなどがなくなってしまうのは淋しいですね。この看板がなくなってしまうと物があったことすらわからなくなってしまう。そう考えると、本当に貴重な品々です。

看板それぞれに物語があって面白く、それぞれの歴史を感じます。他にも古いものはいっぱいあったようですが・・・。

京都の佃煮屋さんの看板 右から左への表記が一昔前ですね。

こちらも佃煮の看板。ご飯のお供として人気だったのでしょうか?

「昔ながらのボーンボーンという音で時刻を知らす大時計や箱階段(階段箪笥)もありましたが捨てましたね。今、時計は太秦の映画村に行っているかな。」と、あっさり話されるのですが、『もったいない!』思わず言葉が漏れます。今だと骨董屋が涎垂ものの品々ですよ。

ご主人の話しを伺いながら、店内を見渡すと・・・。棚の上に鎮座する珍しいものを見つけました。ご主人の断捨離攻撃からかろうじて残ったのでしょうか?

古いレジスターです。

   曰く付き(いわくつき)のレジとは?

古いモノをみんな捨ててしまうご主人なのに、今は使ってなさそうなレジがなぜここに?不思議に思い聞いてみると、「実は、このお店は今まで3回連続で泥棒に入られたんですよ。盗みに入って、家のご飯まで食べていったんです。違う泥棒がこのレジを盗んでいったのですが、こうしたら開くのですけど、泥棒は知らなかったらしくて、どうしても開かなかったので地面に投げつけたみたいなんです。でも結局開かないのでそのまま店と倉庫の間にある庭にほっていったのが見つかって、お金は盗まれず戻ってきたんです。同様のことがもう1回、そのときはお金は盗まれたんですが・・・(笑)」。

いろいろなモノにまつわる話しを聞くのも面白い

なんと2回も盗まれたのに戻ってきたレジだったんですね。それはそれは、大変な目にあったものですね。それからずっと使い続けてこられたそうですが、使わなくなった今は泥棒よけのお守りとして置かれているのだとか。

モノだけではない、伝統的な風習も面白い!

「他の地域からお嫁に来た人からは、『ここら辺は行事が多いね』と言われます」と奥さん。「地元に住んでいると慣れてしまって特別だとは感じないのですが、外から来た人に言われて『ああ、多いのか』と気づくことがあります。」とも。

元々それぞれの町内に神社があり、そのところはそれぞれ毎年まつりをして賑やかで、特に竹屋町、住吉、吉原の祭りは三大祭りと呼ばれ盛大に行われていたそうです。”祭が重なり、次から次へとハシゴができる”と小学生たちはこの季節が来るのを楽しみにしていたそうです。しかし、今は神社も護る人が少なくなって、寂れていき、自ずと祭も無くなってきています。

竹屋町には田辺城祭りの時に出す「芸屋台」が残っています。

▲合間の時間でしょうか?屋台の上でアイスクリームを食べて休憩中

「うちの親父も芸屋台で演じた写真があったなぁ」と髙本さん。それを聞いて奥さんが持ってこられたアルバムには、にっこりと微笑む男前のお父様の姿がありました。

▲向かって左、がお父様の萬二朗さん

地蔵盆と大将

地元では、祭の他に8月22日~24日に地蔵盆が行われています。「昔は町内に100人くらいの子どもがいて、子供会をつくっていました。その子供会を抜ける最高学年の中学3年には『大将』になることができるんです。」

「『大将』になると地蔵盆3日間いろいろと権限が与えられるんです。買い物帳を持って、更科という洋食屋さんやうどん屋さんに行き、ツケで食べることができる。オムライスやカレーを食べるのが夢でした。」買い物帳は、3,4組の大人が作って、後で精算するシステムだそうです。「『使いすぎたらあかんで』と大人の人はいうけど、それは暗黙の了解で・・・。」と笑う髙本さん。

「その他、お供えの菓子をわけるのも『大将』の役。だから、その器量によって違ってくるんです。みんな平等に分ける物もあれば、ほぼ独り占めするものもあったり。それでも誰も文句は言わないんです。こうしているうちに上下のコミュニケーションが自然ととれていたんです」そのようなしきたりの中で、昔のこども達は社会性を学んでいたのかもしれません。

その大将にはどうしたらなれるのか聞いてみたら、なんと生まれ月が早いもんに決まっているそうで、それもただ一人!。それなら、生まれた時点で大将になれるかどうかはわかってしまうのですね。

髙本さんも大将だったのかお訊きすると「はい、しましたよ。中3になるのをワクワクして待ってました。」「今は子どもが少なくなってしまい、息子の時には、買い物帳を持って行っても、食べたり買ったりする店が無くなってしまってたなぁ」と髙本さんが奥さんの方を向くと、「カレーとか、親が持ち寄りで作っていたけど、子どもがあまりいないので、料理屋さんからとるようになりましたものね」と奥さん。

今は、地蔵盆の期間も2日になっているようです。子どもが少なくなってしまうと、昔からの面白い風習もなくなってしまう、そのうち大将のことを知っている年代もいなくなってしまう。そうなってしまう前に、少しでも多くの人に「こんなことがあったよ」と伝えてほしいなと思いました。

今回、どこかしら懐かしい雰囲気の魅力に惹かれてやって来た竹屋商店会。ひっそりと戸を閉ざしてみえる竹屋商店会もひとたびお店にはいってみると、そこには個性的な店主だったり、昔ながらのものだったり、今まで知らなかった世界が広がります。通りすぎるだけでなく、ちょっと中を覗いて入ってみてください。そこには博物館さながらの面白いものがいっぱいありますし、運が良ければ、その町ならではの話も聞くことができますよ。

 

◇竹屋商店会:https://goo.gl/maps/v1nNYBq8uSy

◇髙孫商店:舞鶴市竹屋31 TEL 0773-75-0232

ライター
Hiroko.K
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